NYに来てから1年以上通っている、語学学校でのこと。
ロシア人のディアナちゃんは、小柄で目がクリっとしたとても可愛い女の子だ。英語はクラスの誰よりも上手なのに、話しかけられでもしない限りほとんど喋らない、クールで勝ち気そうな子。
仕事のためか、毎日クラスが終わる前に帰ってしまうため、ほとんど話したことがなかった。そんな彼女が、ある日突然「あなたの絵を買いたいんだけど」と言ってきた。そんなこと言っても、私の絵も見たことないし、きっとからかっているんだろうなーと半信半疑で、ポートフォリオを見せてみた。するとドローイングの作品を指さして「これみたいな感じで、もっと大きなサイズを、2週間後くらいにできる?」と何だか本気っぽい。2週間後に言われたサイズで作った作品を持って行くと、すんなり言い値で買い取ってくれた。

なんだか狐につままれたような気分で、詳しく話を聞いてみると「ちょうど先週末に引っ越して、ベッドルームの壁が寂しいから、何か絵を飾りたかったの。でもギャラリーとかに行って知らない人の絵を買っても、なんだかつまらないし。それであなたがアーティストだって言ってたのを思い出したから。来月から学校を変える予定だから、今月中に買っておきたくて」とのこと。
絵を買う動機って、いろいろなんだなあとちょっと意外に思った。
私の勝手な先入観では、絵を買う人っていうのは、まずその作品やアーティストを気に入って、それから買うかどうか考えるものだと思っていた。でも彼女の場合は「何か絵を買う」ってことを決めて、それからアーティストと作品を選んでいる。選んでいるっていうよりも、たまたま近くにいたから、っていう感じだけど。こんな需要もあるなんて、これからは毎日ポートフォリオを持ち歩くべきかも、とか思ったりした。
実は最近、彼女以外にも2人絵を買ってくれた人がいた。今までは展示以外で売れたことがほとんどなかったから、素直に嬉しい。この2人の理由も変わっている。1人は「仕事をがんばったから自分へのごほうびに」、もう1人は「絵のコレクターを始めようかと思って」。うーん、絵を買う理由っていろいろなのね。